あの日はいつもと変わらない朝だった…
少し違ったとしたら空気だったかな?
高校に入学したばかりで新品の制服にキラキラの靴を履いて何もかもが新しくて気持ちが踊っているようだった私大野真奈(おおのまな)16歳。

そんな思いに浸っていたら
「真奈ちょうど良かった、悪いんだけどこのお弁当歩ちゃんに届けてあげて」
そう言ってお母さんが私にお弁当を渡す。
皆さん歩ちゃんはちゃんが付いているけど決して女ではありません。
私の一つ上で従兄の久瀬歩(くせあゆむ)くんです。
歩ちゃんとは幼稚園からの付き合いになります。
「いいんだけど歩ちゃんって何組?」
「確かB組だったと思うわ~」
お母さんからクラスを聞いて私は学校に向かった。

2-Bはどこだー?1限が終わった10分休憩の時間に私は歩ちゃんを探しに来たのですが…
困りました迷子です。
ここの学校広いからな~なんてことを考えていたら2年生の校舎に着く事が出来ました。
「えっと2-Bは…あった!一番端だ」
廊下から歩ちゃんがいないか見渡すけど歩ちゃんの姿がない。
「歩ちゃんのお弁当どうしよう…」
しょうがないまた次の時間来ようと思って戻ろうとしたら…
「なぁお前歩の従兄?」
突然後から声をかけられた。
「え?あ!ハイ!」
驚いて言葉が変に片言になってしまった。
振り向くと身長は182cm位で髪の毛は少し茶色っぽくくせっ毛が混じった綺麗な髪の男の人がたっていた。
「わ…イケメン…」
思わず口に出ていたのに気づかず
「は?」
イケメンに聞き返されてやっと我に戻った。
「え!?あ!すいません!」
とっさに謝るけどイケメンは更に聞き返してきた。
「お前歩の従兄じゃねーの?」
「はい…そうですけど…」
語尾が少し小さくなりながら答える。
「弁当届けに来たの?」
歩ちゃんの従兄だと分かったからかイケメンの口調が少し優しくなった気がした。
「そうなんですけど、歩ちゃんいなくて…」
「俺が渡しといてやるから」
「へ?」
そう言うとイケメンは私からお弁当をひょいっと取った。
「歩今用事でいないから俺が受け取っといてって頼まれたから」
なんだそう言うことか!一人で納得していたら
「そういやお前名前なんての?」
「えッ!?おぉのマなです!」
突然の質問に妙に力んで答えてしまった。
「大野真奈ね…ま、これ歩に渡しとくから」
そう言ってイケメンは教室に入って行った。
フー。やっと任務完了…
肩の荷が降りたように安心して教室に戻ろうとしたら…
「真奈」
急に後ろから呼び止められた。
誰かと思って振り向くと、さっきのイケメンが教室から少し顔を出していて
「言い忘れてた。俺は千葉春人(ちばはると)。よろしく!」
チバ…ハル…卜?
何か始まるような予感がしたんだ…
でもそれが何なのかなんてまだ知らなかった私…
4月の桜が満開に近づく季節でした。