晴明は今人では読む事が出来ぬ古い文字で記されている巻き物の字を淡々と目を走らせたながら読み始めた。

「"神武の孫(そん)の都が呪に覆われ、荒御魂が集い生きとし生けるものに危機が瀕死し時、玉に選ばれし乙女。
聖地に舞い降り玉に宿りし思いの化身達と共にが災いを退け、都に安らぎをもたらす"か…。」


要するに天皇が治めし地に怨みと荒御魂が多く現れ、五行の均衡が崩れた時、神に選ばれし乙女を召喚する儀式をおこなえと言う事か…成る程だから清水は私を待っていたのだな。


晴明は清水をギッと睨め付ける。



「で、お前はその"面倒"な儀式を私にやれと言う事だな?」

清水は晴明に睨め付けられているのにも関わらずニッコリとした表情のまま頷いた。

「そう言う事。
流石晴明〜おれの言いたい事を当てる天才だね。」

「阿呆、こんな事少し頭を使えば誰でも分かることであろう!」

「だって、こんな事頼めるのは稀代の陰陽師である晴明だけなんだ。
他の人間なんかが儀式をおこなったら…」

「まあ、間違いなく命を落とすだろうな。」

「そうゆう事。
で、晴明は勿論引き受けてくれるよね?」

「ハァ、仕方ない…幸い巻き物にも儀式の条件が記されている。
やってみる価値はあるだろう。」

「ありがとう晴明。
で、場所は何処にする気なんだい?」

聖地と言っても様々な場所がある。


「"紅き神の眠りし地に乙女は舞い降りる"」

それだけ、言い残して晴明は清水に背を向けた。