現在、陰陽寮にいる者達は霊力など全くなく星の観察と森羅万象の原点である八卦の理を研究する事しか出来ない。

真の陰陽師となれるのは言霊と五行の力を自在に操る事ができる者だけなのだ。

晴明も、その内の一人。

彼の出自は不明だが、噂では狐と人間の間の子だと言われている。

其れが嘘か真かは定かでは無いが…実際に彼は強い霊力を持ち、男とは思えぬ程の容姿をしているので強ち間違ってはいないだろう。

「流石だね。
で、俺も原因が何なのか調べてたんだ。」

清水は古そうな巻き物を出した。

「それは…天皇家に伝わる巻き物だな。」

「嗚呼、一応俺は東宮だからね…もしやと思って禁書を調べたんだ。」

清水は晴明に巻き物を渡し、受け取った晴明は何の躊躇も無く巻き物の紐を解き中身を見た。

「これは…」

「うん、どうやら120年前にも同じ事があったみたいなんだ。」