スケッチブックに描くもの

「スケッチはいいのか?」
「うん。スケッチはいいの。それは私の作品だもの。でも、さっきのは違う。もう必要ないから」
「今までは必要だった?」

 桃李が上目遣いに聞いてくる。

「必要じゃなかったけど、見れなかった。今は見ても心が震えないで、紙飛行機を折れた。飛ばしたかったの海の向こうにいるあいつに。返したかったの。まあ、気分だけどね」
「ふーん」

 桃李はスケッチブックを持って立ち上がりパンパンはたいてスケッチブックの砂を落とす。

「ほい」

 と、私に渡す。私はそれを受け取り桃李に抱きつく。

「な、なんだよ」
「連れきてくれてありがとう」
「ああ、いいよ。ってか寒い。気がすんだなら店かどっか入ろう」
「ねえ。妬いた?」

 桃李の顔を覗き込む。

「妬いてない。なんで妬くんだよ」
「じゃあ、いいよ。少しは妬いてもいいのにな」
「妬いて欲しいのかよ」
「欲しい。少しは」

 桃李から離れ腕に抱きつく。

「ああ、もう。妬きました。今頃佐伯の手紙って、なんだよ。その為にわざわざここまで来たのかよって思いました」
「うん。ごめん。ありがとう。じゃあ、今からは桃李との時間だから!」
「あのなアリスここは冬の海だぞ。遊べるとこなんかない!」
「えー!」
「えー! じゃない」

 とか何とかいって冬の海辺で少し遊び、近くの店であったまったり。意外に楽しかったけどな。桃李といるからかな。