この疑問は翌日たまたま移動教室の為に廊下を歩いてて判明する。やっぱり一年生だったんだ。彼はC組の教室にいた。なんでテニスラケット持ってたの?


 放課後になり、今日はスケッチブックを持っているのでそのままテニスコートへと向かう。彼は来るんだろうか。
 テニスコートにはぞろぞろと着替えを済ませた部員が集まってきて居た。
 私を見た途端昨日の一年生が慌ててネットを用意してくれた。

「ありがとう」

 と、一声かけてベンチに座る。動機が不純なだけに申し訳なさが溢れてくる。

「君って、何?」

 また後ろから声をかけられた。あの部長ではない。慌てて振り向くと、彼がいた。

「え、何って…」

「美術部員だ。気にせず練習しろ。まずは着替えろ」

 部長またいたんだ。彼の後ろには部長がいた。

「はい」

 ちょっとふてぶてしい言い方。素直な一年生とは程遠いな。