スケッチブックに描くもの

 美術部に行ってたのでいつもより遅れて行ったけど、ネットちゃんと設置してありました。なんかいつもありがとう。
 いつものように帽子をかぶって、鞄から出したまま抱えて来たスケッチブックを広げる。
 最後の方は涼ばっかりだったけど、ジャージだし顔は描いてないから気づいてなかったな。まあ、この光景を見れば一目瞭然で涼だってわかるんだけど。なにせジャージは一年のみだから、ラケット持ってコートにいるジャージ姿は一人だけなんだから。
 私が遅れて入っていった瞬間みんな涼を見てる。涼は私を。あ、うん。嬉しい。けど恥ずかしい。


 さあ、描くぞ!ってここまで来たら、描くしかないよね。


「集合!」

 佐々木部長の声がテニスコートに響く。


 あれ? 今日は早くない? と見ていると、一年生が部室から何か運んできてる。レギュラーメンバーに新たにメンバーに加わった人用に、レギュラーのユニフォームか。あ、涼ももらってる。これで、ジャージ卒業だ。早っ!
 一年生まだラケット持ってないのに。



 と、またネット片付けてくれてる。

「ごめんね。いつもありがとう。これ出す時も?」
「ああ、うん」

 二人のうち一人が答える。チラッと私を見る。ええ! 同じクラスじゃない! うわ、なんかどうしよう。この扱い……。

 と、涼が嬉しげに私のところに来る。

「みて!」

 うん。見えてる。こういうのしたら怒られるよ。

「こら! まだ終わってない!」

 ね。佐々木部長が吠えてるよ。

 私も怒られないようにコートの外で大人しく待っている。