「ん? ああ、もっと前だよ。父親に教えられてたんだ。他の人より長くやってるからね。前の高校で最初からレギュラー確定だったんだけど、揉めにもめてレギュラー外れるかって話になってたんだ」
「え? すんなりレギュラーじゃないの?」

 てっきりそうだと思ってた。

「先生がレギュラーにしたけど先輩に抗議されてね。だから、こっち来て球拾い覚悟しては来てたんだけど、ついラケット家に置いて来れなくて」
「佐々木部長厳しいけど、公平なんだね」
「ああ」

 レギュラー争奪戦の時に、勝てばいいと言っていた。勝てないなら自分が劣っていると認められる。先生に無条件でレギュラーだと告げられても納得できないが、これなら納得するしかない。

 と、私の家の前に到着。涼の家はこの先?