不思議だったのはパッタリとナーちゃんがアテイ君の家に行く回数が少なくなった事だ。


それはそれで私は少しホッとしていた。
また《間違い》が起きたら嫌だったから。



自然と私も足が遠のいた。
文の住んでいる駅なので、ナーちゃんは文の家に行く様になるし、みんな文の家に来る様になった。


私だけ行けずにいた。
髪は伸びたが、ナーちゃんの『文は渡さない。』の言葉になるべく私は文と距離を置かなくてはならないと、自分の気持ちを必死にセーブしていた。


1人でもビリヤード場にずっと居て、練習していた。


マスターが特別に目をかけている青年が一人いた。
プロを目指していたみたいで、行くと何時もマスターとワンツーマンで練習していた。



しかし、私の知らない所で、ナーちゃんはまたしても文に嘘をついていた。



今度は私にも随分経ってから聞かされた。