ナーちゃんはその涙を見ながら話を続けた。

『アンタ。文が好きなんでしょ。でも、ダメだからね。文は私の彼氏だから。』


心に突き刺さった。
顔色の悪いナーちゃんはまた1口飲み物に口を着けて私の言葉を待っている。


私は顔を上げてゆっくりとナーちゃんにでは無く自分に言い聞かせるように言った。


『分かってる。文の彼女はナーちゃんだよ。
でも、文を苦しめる事をしないでよ。
何で文に全部擦り付けるの?
何で平気でいられるの?自分が淋しいと誰でもついて行くの辞めなよ。
もう文を悲しませないでよ。』


ナーちゃんは薄笑いを浮かべて言った。

『アンタが文を諦めるならしないよ。』


私はナーちゃんを睨みつけて言った。

『その言葉ホントだな?信じていいんだよね?!』


ナーちゃんは勝ち誇った顔で頷いた。


『分かった。2度と文を騙さないで、傷つけないで。』


私はそう言うと2枚の伝票を持ってレジに向かい喫茶店を出た。


元々私の片想いだ。
私は大丈夫。私は大丈夫。
くり返しこの言葉を自分に言い聞かせて自分の家に向かった。
涙が止まらない。


でも、文が困る方が私には辛い。
違う人を好きになろう。


そうすれば全て丸く収まる。



家に帰り、私は鏡に向かい髪を握り後ろ髪を切り落とした。