文は特にバイクを弄る事に興味は無かった。確かにノーマルなバイクだった。
元木さんのバイクにはマフラーを変えてハンドルも少し弄っていた。
今ちゃんのバイクはこれから弄るのに皆で何をどうするか話していた。
少し離れてその話を聞いていた文に私は近ずいて話しはじめた。


『あまりバイク弄るの興味が無いみたいだけど、文のバイクは今のままで良いと私は思うよ。』


文は私を見て少し笑って答えた。
『ありがとう。俺は乗れれば良いんだ。』


私は文のバイクを優しく撫でながら言った。

『私はこのバイクが一番好きだな。』


すると文は静かに笑っていた。
その笑顔につられて私も笑顔になった。


楽しい時間は恐ろしい程速く過ぎ去る。
今ちゃんと文のバイクが見えなくなるまで見送るのが私の楽しい時間の終わり方になっていった。


1ヶ月ぐらいそんな日々が過ぎたある日、それは突然やって来た。


何時だってそうだ、楽しい時間は突然崩れるんだ。