家に帰った私は、ますます家に居場所が無くなっていた。
私は帰ると自分の部屋に直行して部屋から出なかった。


夜中、私は窓を開けて静かな夜空を見上げながら煙草に火をつけた。
そして、今ちゃんの言ったことを思い出していた。


私と似ている人…。


煙草の火が3分の1の所まで来ていた。私はゆっくり灰皿代わりのカンジュースに煙草を入れて火を消した。

今ちゃんに言われたのだ。
『いいか、文。どんなにカネがなくても、煙草は3分の1になったら火を消せ。みっともない吸い方はするなよ。』


それまで、私はフィルターの所まで吸っていたのだが、言われた後は、今ちゃんの言葉をいまだに忠実に守っている。


次の煙草に火をつけ、ボンヤリ煙を眺めながら、色んなことを考えていた。


私はどんな人間なんだろう?
私はそんなに変わっているのかな?
でも、今の仲間達の中では私は異端児じゃない。


そして、私に似ているその人はどんな人だろう?
遠くでバイクの音がしている。


早く自分のバイク欲しいなぁ~。
何で背が低いんだろう…。


2本目の煙草を消して、部屋に戻り眠りについた。
その日の夢の内容は今でも鮮明に記憶にある。


白くて綺麗な手が私を優しく包んで、そして、私の手に絡めて私はその手に温もりと安心感に包まれる夢だ。
抱き寄せられ、包まれる夢。
安らぎの夢だった。