〜日向side〜


「日向くん。今日は調子いい?」


看護師さんが
ご飯を持って
部屋に入ってきてた。


「うん。昨日よりは楽。」


「そう。よかった。食欲はある?」


「まぁまぁかな。」


「できるだけ残さず食べてね?」


そう言って笑顔で戻っていった看護師さん。



「…いただきます。」




俺はそうつぶやくと
ご飯を食べ始めた。






3月から始めた新治療

飲み薬だから
本当は入院しなくていいんだけど
昨日ちょっと体調悪くなったから
念のためと経過観察で
4日前から1週間の入院生活。



んまぁ今日は
元気なんやけどね。





もちろん
去年の段階で手術しちゃえば
よかったのかもしれない


今はそのせいもあってか
病状は少しずつ進んでいる



けど、

あの時
手術してまで生きたいなんて
思えなかった。



もちろん
煌月や海人は大切な仲間だけど


それなら
残された時間を
ゆっくり過ごしたい



だから
地元に帰って来た。



高校は卒業したかったから
通信探して


その話したら
2人もついて来てくれたんやけど。




そんな思いで
迎えた高校ラストの年



俺は
葵に再会したんだ。



嬉しさ半分の
複雑な気持ちになったけどな。


「…ご馳走でした。」


俺はベッドから降りると
入り口近くの棚に置いて

ベッドに戻った。