日向が
人生最大の闘いをした




あの日から






1ヶ月半がすぎた



3月最初の土曜日





肌寒さが残るのに
春の訪れを
草花が教えてくれた。






「おはよー!葵ー!」




「あっ!おはよー!みんなぁ!」




あたしは入り口のところで
手を振るみんなの元に駆け寄った。





場所は春らしい名前




つくし会館。




入り口には

ペーパーフラワーで
飾られた
大きな立て看板




そして

”卒業式”の文字





そう。




今日はあたしたちの晴れ舞台





高校生最後の日




卒業式






みんなそれなりに
おめかしをしているから
すぐに卒業生だってわかる。





今日でこの制服を着るのも最後






「今日はねぇ。ピンクのカーディガンにしたんよっ!!」





「葵にはピンクが一番似合うからね。」





「そそっ!それに髪型も可愛いやん。」



真奈があたしの
巻いた髪を触りながらにっこり笑って喋る。



今日は一段とおしゃれしたつもり。


髪型だって
編み込みして
髪飾り付けて…



朝からがんばって
ヘアセットした。



3時間かかったのは
内緒だけど。





「それ言うなら凪紗も。真奈も希衣ちゃんも。めっちゃ可愛いやん。みんな髪型も可愛いし…」




「この日は一番大切な日だからね。」




「日向くんも。来てくれたらな…


葵の晴れ姿。」







ボソッと言った
希衣ちゃんの言葉に

グッと涙がこみ上げてきた。