電車にいつものように揺られて

地元に帰って来た。



ーーー…ピーンポーン



…ガチャ


静かに開いたドアの先には

ボサボサ頭の日向。


「…日向。」


「…なんだよ。」


「…今日。配られたプリント

渡そうと思って。」


「…あぁ。サンキューな。」



「…なんで。今日来なかったん?」


「…」


「…昨日あんな風になって。

気まずかったのかなって」


「…別に。」

「…じゃあなんでっ!!」


「…」


「…っグス。」


なぜか流れた涙。


…日向はいつまで
閉じこもったままなんやろって

あたしたちのことも大切やない。
思い出も
過去も

日向にとって無意味なものって考えは
いつまで続くのかなって…



…日向の全てをもっと知りたい

…日向が今どんな思いで
生活してるのか


これから日向はどうしたいのか

将来どんな仕事して
どんな風な生活をしたいのか
夢は?理想は?


過去ばかりを知っても
眺めても
辛いだけだよ…


今の日向は
過去も辛いものなはずだから






「…泣くなって。」


「…っだってっ!」


「…中入れ。今は誰もいないから。」


あたしは日向に抱き寄せられながら
中に入った。