「…まだ日向来てないか…ちゃんと来るかな…?」




そう。あたしは少し不安なんだ。




あの日以来
日向からの連絡はないし



ここであってるか
メッセージ飛ばしても
返事がないまま
トークルーム出てるし…



電話番号も知らんから
連絡のつけようがなくて….



あたしの不安は募るばかり…




「…もうとっくに7時過ぎたよ?」


携帯のディスプレイには
19時25分の文字


後5分で花火始まっちゃうんに…


いくら周りを見ても
日向らしき人は現れない…



道路を行き交う人たちの笑い声が
あたしを余計に寂しくさせるんだ…




浴衣姿でひとりぼっち

駄菓子をパクリと食べる


そんな状況が早く終われって
思うんだ。



…日向。今君はどこにいるん?


そう思いながら
空を見上げた瞬間…




………ヒューーードドーン…



空に大輪の華が咲いた



「あっ。花火。」


始まったんだ。花火大会。


「…日向。間に合わなかった。」


そう思ってる中も
花火はどんどん
空へ上がっていく


真っ黒のキャンパスが
カラフルに輝いて


あたしを照らしていく



でもいつも以上に悲しくなった

寂しくなった。




あんだけ意気込んで
準備しても
日向が見てくれなきゃ…


意味ないよ…




ヒューーードドーン
ヒューードドーン


黄色の花火や赤の花火

ハートや変形の花火に
しだれ系の花火


色とりどりの花火が上がる中
あたしは道路に視線を向ける



でも
あたりに人影はない


みんなここから600mくらい先の
会場に向かったのか
あたりは閑散としていた。



「…はぁ。」


来ないやん。日向。


あたしはため息をつくと
諦めて空を見上げた。