「私が書こうか?」

「いや、これくらい書けるよ。」

「あ、いや…その…」

とりあえず、この言葉は無視して書き始めた。


なにを止める必要があるんだろう。


書き終わって、先生に渡した。

「どうした?目が点だぞ?」

「え、いや、漢字よく分かったね。」

「二年間一緒にいたら分かるっつーの。」

「ううん。青葉が初めてだよ。漢字でどう書くかとか言ってないのに……」


あー、そういうこと。

入学で話した日に、名簿で名前を確認したなんて言えない……。
恥ずかしい……。せめてこれだけでも伝えとかないと。


「さーな。なんでだろーな。……嘘。」

「え…?」

「……雨野だから。」