「ううん!っていうか、他の部屋に行けること忘れてたよ~」

と、頭をかきながら、雨野は言った。


やっぱりな……。


少し期待を寄せていたが、雨野はそういうわけにはいかないようだ。


「めーぐみちゃーん!そんなとこ立ってないで、座りなよ!!青葉君も!」


女子が赤らめながら言った。

座ると、前田が雨野に近寄り、

「ねーねー、萌ちゃんって言うの?」

「え…そうだけど。」

「んじゃ、俺そう呼ぼうかな♪前、集計のときけっこう冷たい印象だったけど、けっこういいね。可愛いじゃん♪」

「前田も……そんなキャラなんだね…。」

「びっくりした?」

「いや、別にそんなことは…」


なんか、ムカムカする。

「あの、前田?」

「なーに?」

「近い。」

「意識してるの?萌ちゃんもそういうところ……」

「ありません。少し、座りづらい。離れてください。」

あーーー、なんかイライラする。

「雨野。」

「はい?」

髪を軽く、わしゃわしゃとする。

「へ………?」

「べーー。」

と、舌を出す。

「あ!青葉?!っていうか、やったなー!!」

と言うと、細い手で俺の頭をがしっと掴んで、ゴシゴシ手を動かしたり、頭を軽く上下左右に動かしたり……。

「はい!これでおあいこ!」

と、言うと頬をぷくっとふくらせる。

「………////」

「な、なに?」

「べ、別になんでもねーよ////」
 

なんか……嬉しい……。

っていうか、いままで女子にやったことがないことをやった……。


俺、今日寝れるかな……。