本当は、ずっと前から知っていた。
僕の家は、孤児院だった。
親の愛を受けず育ったから、
大人は好きじゃなかった。
だけど、詩織だけは違った。
僕は、一度駅の隅で倒れたことがあった。
きっと、周りから見ればホームレスで家もないから居座っているだけに見えただろう。
「大丈夫ですか!?」
そう声をかけてくれたのは詩織だった。
これは、彼女と2度目の再会の3年前の話。
クリスマス・イヴの日、これは本当に偶然。
男なら身売りでもして家に入ろうと思っていた。
でも、帰ってきた人は3年前に出会ったあの人。
その時、ドクンと胸が高鳴った。
一瞬でわかった。
これが恋だと。
あの日から僕は、ずっと願っていた。
許されるならもう一度、あの人と会いたい、と。
この気持ちが恋だとその時は気づかなかったけど。
後悔はしたくない。
だから、僕は…
*End 2015,02,17*