隠すのは、想い





 真帆と小崎が二人でいるのを私は見たことがある。冷静そうな小崎と、何やら一生懸命に話している真帆。あれが私ならって何度も思った。私なら真帆のようにいつもメールしたいだなんていわない。デートしたいだなんていわない。


 いくらでも言えるけれど、実際わからない。
 私だって、好きだから。
 好きというそれは、いろいろと私を混乱させ、または乱していく。


 小崎があくびをして「さみぃ」という。もう冬だからね、と苦笑した。
 バス停につき、私は「じゃあな」という小崎に何をどうするのがいいのか、迷った。背中は寒さによって丸くなっている。まるでとじ込もって、しばらく外からの何かを拒絶するかのように。



「小崎」



 バス停の時刻表近くで立ち止まり、私は背中の丸くなっている小崎へ声をかけた。小崎はそのまま「なんだー」
と振り向く。
 私は呼び止めたことを少し後悔しながらも、いう。



「―――こんど肉まん食いにいこう!」



 ずいぶん的はずれな言葉だ。
 だが、予想通り。

 小崎の顔が、きょとんとなった。そして笑い、呆れた苦笑いとなる。



「肉まんってお前…まあいいや。じゃあな」



 確かに恋人にはなりたいが、私にはその勇気が今はない。けれど、けれど彼の隣にいられるだけで、今はいい。
 彼が笑って、元気になってくれれば、それで……。



 《隠すのは、想い》




14/12/5