ーーーーーNEXT MORNINGーーーーー
マンションから一歩踏み出し空を見上げれば昨日の雷雨が嘘の様な快晴。
それでも確かに振っていた事を証明するかのように足元に残る水たまりにすぐに意識を戻した。
そして天気予報はこんな快晴でも時々雨、夕方からははっきりと雨予報だった。
それでも大きな傘を持ち歩くのは軽く邪魔だと鞄に折りたたみ傘を忍ばせ外に出た。
でも、本当に降るんだろうか?
そんな疑いをかけたくなるほどの晴天を再度見上げれば、ようやくその身をマンションから出した彼が緊張感のない声を響かせる。
「うわぁ・・・、サボりたくなるねぇ」
「・・・・副社長、」
「千麻ちゃん、まだここ会社じゃないから」
「わかっーーーっくしゅんっ・・」
言葉も言いきれずに堪え切れなかったくしゃみをすると鼻をすする。
ああ、誤魔化していたかったのにくしゃみまで。
朝起きてみれば僅かに痛む頭に眉根を寄せた。
多分熱まではないだろうと頭痛薬だけを口に放り込み今こうしてここまで来たのに、くしゃみまで出てこられてはいよいよ使いたくなく認めたくなかった風邪薬が必要なのかと溜め息をつく。
「千麻ちゃん風邪?」
「さぁ、どうでしょう・・・、」
「えっ?大丈夫?他に症状は?」
「まぁ、多少の倦怠感、頭痛、熱っぽさはありますけど。・・・あと胃もたれ?少し胸やけの様な吐き気が・・・」
「・・っ、千麻ちゃん・・・まさか・・・」
「そのお決まりの冗談言いたいのならがっつり疑いかかる行為に私を誘い込めてからにしてください」
「ねぇ、本当にそんな疑いかけられる関係になりたいんだけ・ど?」
「すみませんが今日は余計な体力消耗したくないので」
もう止めろと視線も移さずに彼に手を制止を求める。
さすがに理解したらしい彼が皮肉や悪戯も無く口を閉ざすとスッと私より早く移動し車のドアに手を伸ばした。
あっ、と思った時には彼の手で開けられてしまっていて、本来であるなら私の仕事であったのにと唖然として固まった。
そんな私をにっこりと微笑んだ彼が乗り込むでもなくエスコートするように手を伸ばす。
「レディファースト」
「・・・・副社長、」
「だから、ここはまだ夫婦の敷地だよ。具合の悪い奥さんを夫が労わるのは当然でしょ?」
言うなり渋っていた私の手を掴みグイッと引き寄せると私の手から鞄を奪い取る。



