それでもプライドは健在。
私もだけれど彼も負けず嫌いでそう簡単に募った悔しさは解消できないのだ。
「俺・・・怒ってるし」
「・・・ごめんね」
「千麻ちゃんは狡いし酷い」
「うん、ごめん」
「っ・・そうやってあっさり謝罪の言葉返すのも狡いっ」
「うん、ごめんね」
「ーーーっ、千麻っ」
思わず軽く噴き出した。
わかっている、わかっているのだ。
いともあっさり謝罪を口にする私に逆に自分がみじめに追いやられてもどかしくなる彼の心理を。
それを知っていてあえて無表情であっさり「ごめん」を繰り返せば、限界とばかりに私の両手首をつかみ引き寄せ、自身はその身を屈め至近距離に寄る。
もどかしく紅潮しているのに眉根を寄せるその顔が予想以上だと満足して噴き出せば更に悔しそうな彼の姿。
さすがに意地が悪い。
自分でそれを認めると今度は口の端をわずかに上げ、息を吐いてからそれを口にした。
「ごめんね?・・・茜」
この謝罪は悪意の無い物だとさすがに彼も気が付き、少しグリーンを動揺に揺らす。
でもすぐにまた不機嫌を纏うと不満げに結んでいた口をゆっくりと動かした。
「・・・・ダメ、」
「・・・」
「怒ってるし、」
「・・・じゃあ、このまま?」
揉めたままでいたいの?
そんな風に投げかければその返しを期待していた彼の表情が少し和らいだ。
期待していると知っていたんですけどね。
「・・・・・・キスしていい?」
「・・・・」
「俺から・・・キスさせてくれたら仲直りする」
『別にしなくていいです』
いつもの私ならそう返すのだろう。
でもさすがにさっきのアレは彼に酷かったかもしれないとプライドを立てるのと、少し可愛らしい方法でそれを要求してきたのに素直に『いいか』と答えが出た。
私もだいぶ感化されてきているな。と思いつつ、彼をまっすぐ見つめ上げると声を響かせた。
「・・・・どうぞ」
言ってすぐにゆっくりと受け入れるように目蓋を閉じた。
んっ、とキスしやすいように顔をわずかに上げると頬に触れてくる彼の指先。
目を閉じているからその表情はわからないけれど、たぶんどこか緊張した顔をしているんだろうな。と予想して。
次の瞬間にはフッと顔による気配を感じ直後に軽く唇が触れる。
・・・・はずが。



