「・・・・・独り相撲・・・・か、」
乾いた笑いと共に自虐的な言葉を口にする。
確かに彼女が言ったようにこの5年そんな感情を抱いた事はなかった。
最初に彼女に目を付けたのだってその能力。
無駄なく先を読み行動する。
だから安心して寄りかかっていられるその存在はいつの間にか当たり前で・・・。
ああ、そうだ。
それこそ彼女が初夜に言った言葉が引用できる。
【酸素】や【水】に近い、当たり前の存在。
だけど・・・当たり前だからこそ、近くにないと不安なんだよ?
千麻ちゃん。
「あのーーー」
響いた声に反応して顔を上げれば、捉えたのはさっきまで距離のあった女の子達の1人。
少し躊躇いながらも愛想よくにっこりと微笑むと俺を覗き込んでから流行りの色身の唇が声を響かせた。
「いきなりすみません。・・・ずっと、お1人で飲んでいるみたいだったから、」
「ああ、はい、」
チラリと気の抜けたビールを見つめてから愛想を返して微笑んでみる。
それだけで好感触だと思ったのかさっきより緊張解けた眼差しに期待が孕んだ。
うん、可愛らしい。
きっと・・・・、抱いたら可愛らしく乱れてくれるんだろうね。
でも・・・
ごめん、なんか違うや。
俺が求めるのと何か違う。
「・・・・・人を・・・待ってて、」
期待に満ちた姿に冷や水。
暗に『一緒には飲まない』と返した言葉と微笑みに彼女が動揺するから少し面白い。
ああ、俺・・・・性格最悪。
きっと彼女なら辛辣な言葉を返すだろうね。
あのキツイーーーー。
あれ?
少し・・・・驚いた。
脳裏に浮かぶ筈だったのはスーツに身を包み隙も無く自分の前を歩くショートヘアで眼鏡をした彼女。
なのに実際浮かんだのは、
無防備な俺の部屋着で偽物だけど長い髪揺らす大きく長い睫毛の目の童顔の女の子。
『ダーリン』
ねぇ、千麻ちゃん、
結構その呼び方気にいってるでしょ?
でも・・・、
俺もそう呼ばれるの、
結構好き。



