Side 茜
何してるんだろうな。
ぼんやりと1人バーカウンターで頬杖をついて注文したのに口をつけていない酒を見つめる。
注文して数時間。
泡も消えぬるくなったそれはきっと美味しくないんだろう。と他人事のように見つめすぐに視線を外した。
そして何気なく走らせた視線にこちらを見ている女の子達を捉えてすぐに外した。
別に可愛くないわけじゃない。
むしろ容姿だけを言えばかなりレベルの高い子達だと思う。
本来その名目で1人ここにいるのだから行動してもいいというのに。
「・・・・違うんだよなぁ・・・・・・」
ポツリ零れた本心に溜め息をついて再びビールグラスを見つめた。
プカリプカリとその発泡性が上に浮上するのを面白いわけでもないのにじっと見つめる。
そして何が【違う】のか自分でも理解できず、その葛藤に眉根を寄せそのままカウンターに突っ伏すと目蓋を閉じる。
違う。
違うんだよ。
確かに・・・・本心を言えば1年間溜まった欲求を解消したいってのもある。
それをするには手頃で可愛らしくてその一瞬を楽しむには充分すぎるんだ。
多分行動すれば遅かれ早かれ欲求不満を解消する時間にはなるだろう。
いいじゃないか?
どうせ浮気の許可は出ている。
俺が誰と何をしても彼女は微塵も感情揺らさないんだから。
自分で打ち出した答え。
なのに言い様のないチクリとした痛みで眉根が寄った。
そして鮮明に思いだす、好ましくも苦々しい瞬間。
「・・・・あんな風に・・・・笑うんだ・・・・・」
あの特別な空間で、ふわりと風を受けながら密かに望んだ緑と対面した彼女が見せた笑み。
俺がどんなに自分を曝け出しても、彼女は全てを見せようとはしない。
いつだって一線引き、俺と気を許した様な会話をしてもそうじゃない。
俺には見せない笑顔を雛華には見せるんだ。
芹ちゃんも千麻ちゃんも・・・、
雛華を選ぶんだ?
『雛華が好きなの?』
『好きですよ』
分かってる。
分かってた。
だけど・・・ちがう、
少し・・・そう少し・・・自惚れてた。
この少しの期間に、小さくでもお互いに感じてる関係が変化してきてるって。
あの・・・毎日酌み交わす夜と一緒に少しずつ・・・お互いに依存してるんじゃないかって。



