その行為自体に今更待ったをかける気もないのだけども、やはり多少は付きまとう恐怖心。
それを示すように彼の肩に手を置いて静止を求めると、理解したように私を見上げたグリーンアイが柔らかく笑ってから眉尻を下げる。
「・・・ゆっくりするから・・・痛かったら言って、」
「・・・・なんか安っぽい初体験の相手にいう様なセリフですね」
「安いって・・・・、はぁ、千麻ちゃんは本当に照れた時ほど強がりで嫌味言うよね」
「別にそういうわけでは・・・・」
「ま、そんなところが理解しちゃえば可愛くて惚れ込む部分でもあるんだけど・・・・・・、今はとにかく欲に忠実になるから」
何なんだか・・・・。
それでも的を得た言葉に反論するでもなく、ゆらりと揺れたお湯で動きを感じて。
「・・・・んっ・・・」
「・・・・・痛い?」
「・・・いえ、・・・痛いわけでなく・・・ただ私が緊張しているのだと」
うっかり顔をしかめてしまった事で心配そうに覗き込んできた彼に、懸念するような事ではないと言葉を返して。
私の口から待ったの言葉が出なかった事にどこか安堵の表情を見せた彼が更に奥へとその身を重ねた。
お湯の効果もあってかすんなり潤滑して抵抗もなく埋められた感覚に素直に熱を持った。
心音が・・・早くなる。
深くしっかりと身を投じて私を抱きしめる彼の首に腕を巻きつけ、しばらく快楽よりお互いの存在を感じて不動になる。
暑い・・・。
熱い・・・。
どっちが正しいのか、どっちもなのか。
元々入浴の熱も加わっての逆上せる感覚に目が眩みそうになるほど。
でも・・・気持ちいい。
「あー・・・・、千麻ちゃんだぁ・・・」
「・・・・その感想。・・・私の体だと再確認するような対比する存在でもいましたか?」
「・・・・ねぇ、久々の夫婦の営みよ?何でこんな時まで意地悪?」
「・・・・焦らして焦らして興奮高まったあなたに私の欲求まで追いついてほしいからです」
「た、淡々とハードル上げないで・・・・」
「まぁ、・・・焦らさなくても充分・・・みたいですが」
「むしろ焦らされてたんだって2か月半くらい!!」
「なら、喜ばしいでしょう?空腹は何よりのスパイスって言いますし、」
「空腹すぎてガツガツしそうだよ・・・・」
言葉の通りにそろそろソワソワし始めた彼は大型犬の様だ。
待て!と言われ続け目の前のご馳走に今すぐにでも食いつきたいような。