それでもはっきり言えと挑発すれば、とうとう不機嫌が直に私に与えられた。
今まで自分の印に触れていた指先が私の顎に絡み、抵抗する気も無いというのにシートに頭をピッタリとつけるように固定され。
その間寸分も狂わぬように彼のグリーンアイを見つめ抜いた私。
普通の人であるならきっと彼の威圧に目を逸らした筈。
でも、私にそんな物通用しない。
この5年、どんだけお坊ちゃまの我儘に耐え抜いたと思ってんだ!
そう簡単に私を自分の都合で振りまわせると思うなよガキ!!
気がつけば心の中でそんな罵倒。
いや、もう5年もそんな事を心で叫び、目の前の男の公私混同な我儘をこなしてきたんだ。
そうして最大の我儘であるこの結婚という契約までしてしまった私がバカなのか。
でも、いつだって・・・・そのグリーンアイだけは嫌悪を抱けない
。
怒りに染まるそれですら綺麗だと感じるほど。
「・・・・雛華が好きなの?」
現実に引き戻された一言。
何を言ってるんだこの男。
そうは思ってもそれに対する答えをイエスかノーで答えれば・・・
「・・・はい、好きですよ」
一瞬考える間は空いても答える声は躊躇いなくそれを告げた。
その瞬間にその双眸をより開きグリーンアイが動揺に揺れる。
だって、何を今更・・・。
もうとっくに理解していた事でしょうに。
それに【好き】か聞かれればそれは・・・。
と、自分の中で言い訳の様に補足を思い浮かべていると、スッと細まった目。
顎に絡んだ指先に力が入りさっきより更に固定された顔。
そして気づく。
怒りの中の寂しいの意思表示。
でも今は苛立つ感情の方が表面化しているらしい。
私をシートに縫い付けると一睨みした後にスッと近づく顔。
何をしたいのか分かる。
しようとしている事も。
だけども抵抗もせず、表情も崩さず、それに殉じて目蓋を閉じたりもしない。
まるで目の前の状況など見えていないかのように息だけをまともにすれば。
触れた鼻先。
唇にかかる彼の息、・・・同時に私の物も彼にかかっている筈。
至近距離で見ても綺麗すぎる肌にこんな時でも小さく嫉妬し、そして伝わったのは熱。
・・・・ではなく、肌への小さな小さな振動。
いつの間にか顎から頬に移り変わっていた彼の手。
強引に私を縫い付けた筈の手が今は柔らかく頬に触れそして・・・震える。
寂しいの?
ダーリン・・・。



