「・・・よもや、」
「ん?」
「残業は嘘で浮気なんてしてきてないでしょうね?」
「ええっ!?なんでそんな飛躍!?逆にビックリなんだけど!!」
「変に口ごもって挙動不審だからです」
「ない!ないないない!!大丈夫!!俺今も昔も千麻ちゃんのちっちゃい胸の大ファンだからっ!!」
「その焦り方・・・逆に怪しいですよ」
「うっそ、だって・・・ええっ!?・・・あっ、」
別に本気でそこまでは疑っていないものの何となく慌てぶりが可笑しくて追い詰めてみれば、予想通りに挙動不審になった彼が何を思ったのか真顔になると私の手を握ってくる。
どんな茶番を仕掛けてくるやら、
だいたい予測のつく行動を目を細めて流れのままに受けてみると。
「俺には千麻ちゃんが一番だよ」
決め顔なんだろうか?
そして口説き文句?
それにしては安いな。
そんな感想を持ちながら目の前で『これでしょ?』と言わんばかりの作られた凄艶さを見せてくる夫に今更ときめくはずもなく。
「つまり2番3番と控えている若くて可愛い子がいると?」
「もうっ、結局何言っても千麻ちゃんは意地悪いうんじゃん!!」
「あなたが何か私に隠しているからでしょう」
「別に・・・隠しているわけじゃ・・・」
「視線がすでに逃げてますが、」
「・・・・」
「ダーリィーンー・・・?」
「っ・・・」
どうも言いにくいらしい彼の秘め事。
でも頑なに隠されれば意地でも突き崩したくなるのが私の性分。
視線を外して押し黙った彼を絡み付く様に見つめてその身を寄せる。
ザバリとお湯を揺らせて滴らせながら『逃がさない』と言うように彼の膝に跨って座れば、驚愕と焦りのグリーンアイが私を見上げて動揺を見せる。
「ち、千麻ちゃん?えっと・・・」
「夫婦間に秘め事を持ちたいのですか?」
「い、いや・・そんなアバンチュールな秘め事でもないです・・・。そして、むしろ現状に余計な欲疼きそうなんですが・・・」
そう言ってチラチラと私の顔と胸に交互に視線走らせる彼は笑ってしまうほど正直だ。
だからこその優位。
クスリと悪戯に微笑み彼の頬に指先走らせ顔をグッと近づける。
でも決して唇を重ねたりはしない。
焦らすような距離キープでくすぐるように頬を撫でてそのまま唇に指先を滑らせた。



