「彼が気がつくまで私はこの事を話しません。気がついてもおいそれと簡単には再婚しないかと、」


「・・・・つまり、・・・千麻ちゃんが納得するまで茜は不憫な片思い?」


「そうなりますね、」


「それって・・・結構な賭けじゃない?もし、茜が結婚したいって言いださなかっーー」


「あり得ません」



ここに来て嫌味な笑みで不安をあおるような言葉を口にしてきた彼に、言葉を遮ってはっきりと否定を返す。


さすがにその場面では表情は崩さず、どこか楽しげな目が静かに細くなり私を見つめた。


言葉の続きを待つように。



「彼は・・・もう私以外の女性では満足したり出来ませんから。・・・・・・ああ、これはセクハラな発言です」



ニッと笑って勝ち誇ったように告げれば、双眸見開いた姿が直後に噴き出しくっくっくっと笑いを零す。


そして口元押さえながら『参った』と言いたげに上がる片手。



「あーはは、本当・・・、あいつは女運があるんだか無いんだか・・・。千麻ちゃんは一筋縄でいかない」


「だからこそ・・・負けず嫌いも働いて執着なさるのでは?」


「・・・・それを分かっててなら、やっぱり上手な策士は千麻ちゃんの方だね?」


「私・・・息子さんのいじけて不貞腐れた姿見るのが大好きなんです」


「同感。・・・でもやっぱり・・不憫な奴」



ああ、本来どSなこの人がそう言うくらいだから、私は本当にSっ気強いのだと自覚し、だけども嘆くわけでもなくにっこりと肯定。


そしてちらりと時間を確認すると席を立った。



「ん?帰る?」


「はい、今日はあくまで予測宣言に来ただけですから」


「茜が気がついた時の反応あとで教えてね」


「・・・嫌です」


「うわっ、予想外、何で?」



何でって・・・あなたなら一番に理解することでしょう?



「彼は私の物ですから。その反応全ても私だけの特別な物です」



独占欲明確に宣言して見せれば3勝目。


驚き見せながら、それでも愉快そうに黒豹が笑う。



「ああ、本当・・・我が家にふさわしい独占欲だよね千麻ちゃん」


「お褒め頂き恐縮です・・・お義父さん。・・・仮ですが」



補足付け足しで名称響かせると、ニヤリと笑った姿が見送るように片手をあげる。


それを確認してから背中を向け、扉に手をかけたタイミング。