「フフッ・・・改めて見たら見惚れるほどカッコよかった?」
「まぁ・・・性格を除けば見目麗しいのではないでしょうか?」
「ああ、じゃあ茜の事もいい男だと思っているんだ?」
「・・・息子自慢は他者からすれば呆れの対象ですよ」
「いいんだよ。だって実際他人から見ても容姿端麗だって理解してるし」
「己惚れ・・・・・」
「ん?」
「・・・と、言えない現実にものすごく悔しいですね」
「ははっ、賞賛ありがとう」
結局負けた。
確かの性格を抜いてしまえばこの家系の人間に容姿の落ち度が全くと言っていい程ないのだから。
ムスッと眉根を寄せる私にクスクスと笑う男の声が響く。
一瞬彼と錯覚したのはその声が似ていると思ったから。
エレベーターでも・・・まぁ、色々と記憶ありましたね。
と、あまり誉められた記憶でない者を回想した瞬間に静かに動きを停めた小さな箱。
厚い扉がゆっくりと開いて、懐かしい重役フロアにゆっくりとその身を出していく。
カツンと響く靴音。
ああ、懐かしい。
もう二度と・・・・このローカは歩かない物だと思っていたのに。
「・・・・懐かしい?」
「・・・・そうですね」
私の心を読んだかのように投げかけられた言葉と笑み。
それに誤魔化すことなく返答して歩き出すと、社長も歩幅合わせて隣をあるいた。
日中。
少し警戒したのは彼もこのフロアに身を置いているという時間帯だから。
今日の来訪は彼にも告げていない。
むしろ知られたくないものであって、名前を付けてしまえば【密会】。
そう、彼にはまだ秘密裏にこの人と話しておきたいことがあったのだ。
そうして来訪した今。
心配もそこそこに社長室の中に入ると、すかさず見覚えのある秘書が私の姿に会釈をしその身を外して姿を消す。
多分、自己判断。
外した方がいい場だと。
さすがこの男の秘書なだけある。
私の隣にいた姿がゆっくり応接スペースのソファーに私を促して、それに従ってその身を下すと彼も目の前に静かに座る。
そして、
一息?
お互いに意識して視線を絡めたのが合図の様で、探るような視線を感じてから先に響いた黒豹の声。
「で?・・・・今日俺に会いに来た理由は何?」
「お話があってきました」
「茜にも内緒のお話なんじゃない?」
「・・・今は、」
「含みあるねぇ、・・・・秘密ってどんなものより危険に甘いよね」
ニッと笑う姿は悪魔そのもの。
きっと悪戯な秘密とか嘘が大好きなんだこの人は。
だってそれを武器に好意の対象を虐めるのが好きなんだから。



