こっちはワケのわからない彼の行動に必死で謝っているというのに、当の本人はお構いなしに靴を履くと庭を横切る。
その姿にムッとしながらも靴を履き、そしてもう一度振り返ると2人に頭を下げ陽のあたる癒やしの空間を横切った。
穏やかな空間。
だけども小道に入れば一気に陰に包まれ気分も下がる。
そして自分が向かうのは、向かわざるを得ないのは光りどころか闇ばかりの場所。
不機嫌な悪魔が不機嫌にその身を置いた狭い狭い車内の中。
私の事なんてお構いなしにさっさと車に乗り込んでいる姿がハンドルを指先でトントントンと小突いて窓の外を眺めていて、ドアを開けた瞬間から重苦しい空気にウンザリする。
それでも外の新鮮な空気を思いっきり吸い込むと意を決して助手席にその身を置いた。
シートベルトをガチャリと鳴らせば無言のままエンジンをかけギアを入れ替える彼。
眉間・・・疲れないのだろうか?
そんな心配もしてしまうほど不機嫌の意思表示継続の彼に、一言物申せばいいのか。
でもそれも面倒だと小さく息を吐くと【触らぬ神に】とばかりにシートに背中を預け鞄から手帳を取り出した。
そしてパラパラと捲り月曜のスケジュールを確認していれば、少し雑に動きが止まった車と、同時に乱暴に抜き取られた手帳。
一瞬は手帳があった筈のその位置を茫然と見つめ、そして次に車が止まった理由を視界で確認。
赤信号。
マナー的行為。
だけども、、
バサリと後ろに取られた手帳が投げられ、それを目で追ってからゆっくりと彼に視線を戻すと最初から不機嫌の彼の表情は変わらず。
それでもさすがにあまりにも失礼じゃないかとこちらを向かない姿に不満を口にした。
「あなたは幼稚園児ですか?何に苛立っておられるか存じませんが、備わっている言葉という能力を使わず全て行動でそれを示すなんて成人した男性のするようなことではないかと思われますが」
「・・・・・・・ちょっと、・・・黙っててくれない」
低い低い威圧的な声。
しかも感情的でなく静かに言われた言葉に逆にこっち方が感情的にキレたくなる。
まぁ、しないけれど。
それでもこの理不尽な状況はあんまりじゃないかと、彼が投げ捨てた手帳をベルトを外して体を捻り拾い上げた。
瞬間。
「ちっ・・・」
耳に響いた舌打ちに眉根が寄った。



