シンと静寂になる部屋に小さく笑うと疑問を響かせ、お腹に顔を寄せている彼の頭に触れてみる。
「・・・・お終いですか?」
「うん、・・・だってまだ継続しているお話だもん」
「・・・相も変わらずドリーマーで陳腐・・・」
「でも・・・・藁に縋るよりは効果あったんじゃない?
永遠は優秀な魔法使いだもん・・・」
言いながら人形を撫でお腹に再度口づけた彼が再び柔らかくその声を響かせた。
「早くおいで・・・みずき・・・」
無茶を言うなよ。と苦笑いを浮かべたのに、直後に酷く驚く結果となる。
「・・・っ・・・・・」
「ん?どうした?・・・張ってる?」
「・・・・・・電話・・・」
「・・・はっ?・・・何?電話?」
「電話です!電話!!・・・・っ・・・は、・・破水・・しました・・・・多分・・・・」
さすがにその一言には余裕の表情は浮かばなかった彼が一瞬呆然と間の抜けた表情で停止し。
その間にもゆっくりと体を起こして、状況判断を試みようとした瞬間にも伝う生ぬるい物。
多いのか少ないのかも分からないけれど確実に破水している。
それを目に見えて捉えた彼がようやく事を把握したらしく挙動不審に瞳を揺らす。
「はっ?えっ?・・・・ええっ!?嘘っ・・・産んじゃう!?俺キャッチ!?」
「今すぐになんか産まれないし産みません!だから早く電話しないと、って言っているんです!・・・・っ・・うっ・・」
「っ・・・ま、待って、早くって言ったけどまだ産まれないで産まないでっ!!」
「・・っ・・・いいから・・・・電話しろ!!」
最終的に・・・・今までのリラックス虚しくキレた。
何だかんだ余裕を見せていたくせにいざとなると、なんて・・・。
結論・・・出産の場面で男は使えない。
それでも酷く困惑しながら彼が電話をして、張りがそれほどでもないタイミングを見計らって自分でも移動の準備を始める。
女って強い。
さっきまで痛いのが怖いだの言っていたのに、もう直前に向かえてしまえばそれに走ってしまうんだ。
痛いは痛いけれど・・・。
飲酒済みな彼は頼れず、タクシーを頼んで産婦人科に向かうこととなり。
徐々に間隔短くなる張りはもう完全に陣痛と言える気がする。
そして学んだのはお腹が痛いというよりは腰が死ぬほどキツイという事。
段々摩る位置がお腹ではなく腰に移行して、張りがくる度に彼にも摩ってもらっての道中。



