今度は何の思い付きだろうか?とまるで子供をあやすかのように人形に触れる彼をじっと見つめる。
『・・・・・小さな光は不安でした』
「はっ?」
不意に彼が口走った言葉に反射的に反応を返せば、スッと移ったグリーンが笑って『静かに』と指を唇に当ててくる。
その仕草に黙って従い口を閉ざすと。
『小さな存在は、暗くて狭くて不安でした。
それでもどこかから温かい物は伝わって来ていて、
それを探して動きたくて必死です』
穏やかに紡がれるのが彼の独創的な童話だと理解すると静かにそれを耳に流し込む。
ヒーリング効果のある音楽のように力を抜いて、彼が愛おしむように『永遠』を膝に乗せているのにどこか安堵して。
『もがいて、もがいて、
上へ下へ
それでも思うように動けずに悲しくなって、
小さく小さく泣き始めてしまいました』
ああ、また・・・・。
穏やかに聞き入れていたのにジワリとはじまる張りの波。
思わず力が入る体を丸めると、気がついた彼がお腹を摩る。
辛い・・・痛い・・・。
その痕が残りそうな程眉根を寄せて、恐怖心伴う痛みを逃していれば。
『小さな泣き声に気がついたのは魔法使いでした。
出口が分からないと、泣いている存在に気がついた魔法使いは
自分の子供である黒ウサギにお願いをしました。
「迷っているあの子を導いておいで」
魔法使いの言葉に
綺麗な緑の目をきらりと光らせたウサギはその子を迎えに飛び込みました』
言葉を表すようにお腹にそっと乗せられた人形。
痛みも不安も健在。
なのに思わず小さく口の端をあげてしまった瞬間。
その笑みを確認した彼も口元の弧を強めるとそっとお腹に唇を寄せて、まるでそれが魔法のように言葉をゆっくり弾いていく。
『怖がらないでおいで、
永遠が手を繋いで教えてくれる。
その目に光を感じたら、
愛情たっぷりの名前で呼んであげるから』
触れている部分から声が響く。
彼の熱と永遠の微々たる重み。
そして即興であろうお話が程よく心を癒していって、不安が解消したわけではないけれどそれに対しての心構えが多少変化。



