せめてもの危険予測で視線は絡めず、心の内のみで聞きなれない名称に悶絶していれば。
お構いなしで、むしろ現状に酷く楽しげな彼が私の肩に顎を乗せた。
「フフッ・・・、そんなに自分が一般的形に収まるのが恥ずかしい?」
そうやってまた・・・。
痛いところで突かれたくないところを悪戯に刺激して楽しむのがこの人の嫌味な性格。
だけどさっきの予測有効な今は視線を走らせる危険回避で声音ばかりに不満を映して。
「恥ずかしいというか・・・、客観的に見た時に私らしくないなぁ。と」
「常にクールでドライで完璧女子に見られてたい?」
「別に、私は完璧主義者であっても完璧であるとは自惚れてません」
「うん、俺そんな時々不完全でグタグタの千麻ちゃん好き〜」
「鬱陶しいくらい知ってます」
「もはやそんな悪態に近いセリフすら愛情だよねハニー」
「・・・」
「無言!?」
「っ・・・いや、・・・張ってるんです」
張っていなければ多分切り返す言葉を口から吐き出していて、なのに再びキュウッと締め付けられる様な感覚に眉根を寄せた。
これは痛いと言っていい範囲の物なのか?
まだ、そう言い切るには一歩及ばず、それでも耐え切るには体に力が入ってしまいそうな感覚。
お腹を摩りなるべくゆっくりと息を吸って吐いて張りが治まるのを待ってみる。
「陣痛来ちゃった?」
「・・・どうでしょう?前駆陣痛という事も、」
「まぁ、様子見で時間計って10分感覚継続したら病院電話する?」
「・・・詳しいですね」
「だって俺妊婦雑誌を隅から隅まで読み込んで、経験談コーナーの陣痛時の奥さんの旦那に言われたらイラっとする言葉も記録済み」
「ドヤ顔で言ってますが・・・ヒマ人ですね」
「すべては愛する君の為だよハニー」
「・・・この出産が終わったら今のセリフを経験談として投稿しておきます。・・・イラっとするセリフで」
「酷いよ千麻ちゃん!!」
「じゃあ・・・」
何故だか出産する私よりの強い気合いの入り方に愛情感じて静かに歓喜。
でも私が彼を喜ばせる様な事を安々と顔にだす筈もなく、嫌味な言葉で本心の偽装。
それでも、
「優しく撫でて、」
「・・・千麻ちゃん?」
彼の手をそっとお腹に触れさせる。
その存在を確かめさせる様に。
「あなたの場合、言葉より温もりや触れている感触の方が私には屈折なくまっすぐ届く」
皮肉屋な私達が唯一皮肉なく感情を伝える術よね。



