触れて絡んで密度を増して。
触れた瞬間こそは驚き見せた彼もすぐにその端を上げると自らも絡みつく。
角度を変え、背後から私を包む様に座っていた彼を振り返りながらのキス。
ご褒美とばかりに与えた物なのに、不安が軽減したせいか逆にその温もりや感触に安堵してのめり込む。
静かな部屋に言葉ではない音でお互いの存在を響かせ熱に浮かれて。
自分達が響かせる扇情的なリップノイズをBGMに唇の遊びに興じていれば。
「・・っ・・・」
「・・ん?・・また張ってる?」
「態勢のせいでしょうか?」
そう言って息をゆっくり吐くと無理のない姿勢を保って前を向く。
すかさず背もたれに成り代わる様に彼の胸が背中に密着してきて。
甘えるわけではないけれど、楽を求めて体重を預けた。
脇から伸びた彼の両手が優しく宥める様に私のお腹を摩って緩和。
「おー・・・、張ってるねぇ。カッチカチ、」
「今日は少し多いです・・・」
「うん、さっきから15分くらい?」
時計に視線を向けた彼が優しくいたわる様に撫で、その指先の感覚に多少でも緩和していき静かに張りも治まっていく。
ふぅっと長めに息を吐き出すと自分でも摩って脱力してしまう。
そんな私の額にそっと移った彼の手。
軽く前髪の上の位置当たりを数回柔らかく撫でるとそのままクイッと引き寄せた。
トンッと天井を見上げる様な感じに彼の肩に乗った後頭部。
チラリと無表情に視線だけ動かし「何をするんだ?」と無言の投げかけ。
それに返されるのは裏もなく、ただ楽しげで嬉しげな彼の微笑み。
「大丈夫?」
「張りなら休めばある程度でーー」
「マタニティブルーな方」
「・・・マ、・・マタ・・」
「フハッ、何て顔!?」
突如名付けられ響された言葉に、明らかなる驚きと動揺を出してしまったのだと思う。
一体どれだけいつもの自分を逸脱していたのか、噴き出しクックックッと小刻みに揺れながら笑う彼に余計に動揺して小さく羞恥。
だって、
だって・・・、
えっ!?
「わ、私・・・私のコレって・・マタニティブルーって・・・分類ですか?」
「まぁ、他者から見た限りは・・・マタニティブルーってヤツですねぇ」
「・・・っ、」
「自覚無しだった?」
「っ・・・なんか・・・異様に恥ずかしいです」
「わぉっ、めっずらし〜。顔真っ赤ですよぉ」
「指摘しないで・・・」
「千麻ちゃんの羞恥のポイントって面白くて可愛いよねぇ」
クスクスと笑う声が熱く赤くなった耳に入り込んで眉根を寄せて、それでも挑む様に睨み返さなかったのは予測していたから。
今は挑んでもあのグリーンアイに負かされると。



