「俺からして見たら・・・その愛情が大きすぎて、逆に捉えきれなくて千麻ちゃんが迷走している様に見えるよ」
少し呆れが混じっている?
それでも耳に優しく響いた声に、言葉の解釈を求める様にグリーンアイを視界に捉えて。
でもすぐに顔の距離を埋められ唇が軽く触れて離れた。
その唇は弧を描き、私に笑みを確認させると再度唇を合わせようとして。
すかさずそれを阻む様に彼の唇に指先を当てる。
当然怪訝な彼の、
「出直し?」
「『出直し』と言うより『待て!』です」
「えっ、じゃあ待ったら濃密チュウしてもいいの?」
「・・・私が納得し満足いく答えで不安が解消された後であるなら、」
まずは説明しろ。
そんな牽制向け見つめてみると、まだするとは了承していないのに決定事項の様にニッと笑った彼が私のお腹を柔らかく摩る。
「『愛せるか不安』ってさ・・・、もうすでにその存在を受け入れて愛しているからくる心配だよね」
「・・・・・」
「だからさ・・・千麻ちゃんが悩んでいる事ってもう愛情たっぷり満たされて大きくなっているものなのに、真面目な性分で頻繁に確認しないと気が済まなくて・・・。
でも、それが大きく育ちすぎてて視界に捉えきれなくて、逆にそれが目の前から消えてしまったように感じてるんだよ。
本当は手に触れられるほどの距離・・・目の前にあるのにね」
「・・・・えっと・・・」
「フフッ・・・分かりにくい?・・・じゃあ・・」
言いながら彼が一瞬だけどう説明しようか迷うように部屋を見つめて、でもすぐに思いついたように自分の左手から指輪を外して私の目の前に摘まんで示す。
何の意図かと指輪とグリーンアイを交互に確認しての疑問の投げかけ。
「例えば・・・この指輪が愛情って物の形だとする。こうしてまだ余裕の範囲であるならその形も捉えられて明確だよね?」
そう言って指先で指輪を遊びながら物の明確さを示す彼に頷いてみせる。
うん、理解出来る。
私の解釈が自分の思考に追いついてきている事を理解した彼がニッと口元の弧を強めて言葉の続き。
「じゃあ・・・、愛情が大きくなって距離が縮まって・・・目の前に来るほど・・・・コレはどう見える?」
言葉の通りに目の前にゆっくりと近づく指輪。
近づく距離で愛情が深まっている事を示して、目の前に、手が届く範囲に入りこんで徐々にぼやける。
明確だった形が輪郭を捉えにくくなってきて、更に強調されるのは真ん中に開ける空洞ばかり。
指輪なのだから真ん中があいているのは当然。
でも、彼は例えるのが上手いと一瞬丸めこまれて唖然とした。



