そんな事を考えたこの一瞬にもまた不安に満ちて涙が浮かんで。
でもそれを塞き止めるように柔らかくお腹を撫でてくる手の感触にゆっくりと視線を動かした。
潤んだ目で絡んだのは穏やかなるグリーン。
こういう時ばかりはその色味が癒すように揺れ動くから不思議だ。
彼に振り回されていた仕事関係の時にはこのグリーンは悪戯な悪魔の目にしか感じなかったというのに。
そして吐き出される言葉も私を不愉快にするものばかりだったというのに、
今は・・・、
「うん・・・うん、不安なんだね・・・・」
納得したように頷いて宥めるようにこめかみに口づけてくる彼は酷く甘く慰めてくると感じる。
触れ合う熱にも癒し効果があるように、一人じゃないことを強調しての理解ある同調。
自問自答と違って責めるような物でなく受け入れて許してくれるような反応に、やっと力が抜けて涙が頬を伝って落ちた。
「す、すみませ・・・」
「ん~?」
「さっき・・さっきのは・・・・八つ当たり・・・」
「ああ、別に気にしてないよぉ~。ああ言って千麻ちゃんが少しでも気持ちが楽になるのならいくらでも」
「・・・・・・どうしたんですか?」
「ん?『どうした』ってどうした?」
「・・・・優しすぎて気持ち悪いですよ?」
「・・・・・・苛め抜いてやろうか?ハニー」
私があまりに『信じられない』という表情でその言葉を向けたせいか、僅かばかりにムッとした意地の悪い笑みを浮かべた彼がすかさず私の腰に指先走らせ虐めの実行。
見事ゾクリと反応してキッと恨みがましく睨みつければ、クスクスと笑った彼が耳元に口づけて抱きしめてくる。
肩に預けられた彼の頭。
ふわりと髪の毛が頬を掠めて。
間近で見ると光を通して更に色素が薄いと感じた。
どこまで綺麗に出来ている人なんだろう。
そんな事を思った瞬間。
「【完璧】かどうか・・・」
「っ・・・・・」
「その疑問に対しての答えは俺は持ち合わせてないし、何が基準でどう完璧と下されるのかも分からない」
「・・・はい、」
「結局のところ・・・それは人がいくら答えを下しても、千麻ちゃんのものさしで計っている事だから意味がないでしょう?・・・責めてるんじゃなくてね」
彼が的確な言葉を口にして、でも最後にきちんとフォローの響きと柔らかい笑顔。



