馬鹿ね・・・、馬鹿すぎて・・・、
愛おしいわ。
落胆する程・・・強烈に感じる愛情。
逆に成功したアップルパイより強烈に愛情と絆を感じているわよ?
「・・・・だから・・・初めから期待はしていないと言ったでしょ?」
そっと彼の両頬を包み込んで、再度同じ言葉を繰り返す。
当然更に消沈した彼が小さく『ごめん』と口にするのに困ったように苦笑い。
そして腕で揺れる袋に意識が走り、視線を彼に戻して言葉の引用。
「絆なら・・・私が見せてあげましょうか?」
「・・・絆?」
「【絆】・・・・見たいですか?」
覗き込んで囁く様に告げればパッと確認するように明確になったグリーンアイが疑問に揺れて私を見つめて。
「見たい・・・・」
その答えを求める様に悲哀を消していく姿に彼の様な後押し。
「じゃあ、私の魔法を上乗せしましょうか?」
そう言ってニッと口の端を上げると、呆気にとられた後にようやく彼がふんわりと笑った。
「・・・・千麻ちゃんの魔法は強力だからなぁ・・・、それなりに構えて受け立たないとだ」
その言葉にクスリと笑うとゆっくり彼に背中を向けて帰路につく。
すぐにいそいそと隣に並んだ彼が、必然であるかのように私の手に指を絡めて。
「・・・・冷たい・・」
「まぁ、空気がこんなですから」
「手袋欲しいねお互いに、」
その言葉に思わず噴き出せば、何故笑われたのかと疑問顔を一瞬浮かべた彼。
でもすぐに気がついたらしく、同じように噴き出すとすぐに訂正。
「やっぱいらない。・・・せっかく外せたのにまたつけてどうするんだろ俺・・・」
「まぁ、あなたの体温はいつだって高すぎるくらいですからね」
「・・・暗に子供だって言ってるでしょ?」
「まぁ、確実に私よりは5つも下ですから」
「うん、水戸〇門の引用には年齢差を感じた」
そう言って苦笑いを浮かべた彼に小さく笑って。
夫婦らしく隣り合って歩き帰路についた。
「・・・・・・あっ、降ってきた」
その声に視線だけ走らせれば窓に向かって立つ彼の後姿を捉える。
今までソファーに座って妊婦雑誌を眺めていた彼が外でちらつき始めた白い物に反応して窓に張り付く。
それをキッチンに立ちながら眺めて小さく口の端を上げると手元に集中を戻していく。



