「見ていてこっちが恥ずかしくなりました」
「そう?茜ちゃんとはしない?」
「すみません。何の拷問ですか?」
「ははっ、じゃあ、家でもさっきみたいな漫才?」
「不本意で認めたくはありませんが否めません」
家でも変わらず、それこそ結婚しても変わらずな関係なのだと伝えたつもりだった。
社長と秘書。
夫婦といってもその間に恋愛感情も無く名前だけの婚姻関係。
むしろよっぽど雛華さんと芹さんの方が夫婦という肩書に当てはまるんだろう。
彼が望んだ彼女の幸せ。
それによってこの隣の彼も幸せなのだ。
「・・・千麻ちゃんも茜にすればいいのに」
「だから・・・何の拷問ですか?そしてそれをあなたが私に言いますか?」
「ごめん。でも・・・なんか千麻ちゃんと茜ちゃんも幸せそうだったから」
苦笑いで嫌味かと疑いたくなるような言葉を告げた雛華さんを呆れて見つめれば、これまた予想外で的外れな言葉が返され驚きを現してしまった。
だって・・・、幸せ?
私と彼が?
どこが?
多分思いっきりその感情のままの表情をしていたのだろう。
目の当たりにしていた雛華さんが口元を隠して噴き出すとくっくっくっとこらえながら笑い始める。
また何かの冗談だったのかと非難するように見つめ口を開きかけた瞬間。
「茜ちゃんは多分してほしいと思うよ。・・・・いや、絶対?」
「・・・はぁ?そりゃあ相手が芹さんや他の可愛らしい女の子であれば理解はしますけど」
何を言っているんだこの人は。
そんな風に切り返せばきょとんとした表情で私を見つめ、そして何かを確かめるように後ろを振り返る彼。
どういう意味なのかとただ見つめていればようやく私にその視線が戻り、疑問に首を傾げてみると方眉を上げ困ったように口元に弧を描く姿。
「・・・・・・案外、茜を理解してないんだ千麻ちゃん」
「はい?」
「あいつは貪欲で我儘で独占欲の塊だよ?」
「・・・・嫌ってほど理解してますけど」
「・・・プラス、ものすっごく寂しがり屋で甘えっ子」
「言い方ばかりは可愛らしい響きですけど、性質の悪い最悪な大人ですね」
「千麻ちゃんと話してると突っ込みが激しくてどうしても漫才になるね」
「私はただまともな会話になるべく修正を効かせているだけです」
淡々と切り返せば苦笑いで私を見つめる彼。



