そんな些細な部分にも彼女の愛情の深さを感じて。
新たに始めるだけじゃなくて、過去の結婚を礎に大切に、その上に新たに時間を刻もうって事なんでしょ?
不器用で不完全だったあの夫婦関係も終わりこそ悲しかったけれど、確かに俺たちの絆や想いを強く確認した時間で。
この指輪はそれを全て詰め込んだような。
「ありがとう・・・千麻ちゃん。君はいつだって俺の予想を超える答えをくれるんだ。
俺の・・・・最高のパートナーだよ」
静かに微笑んで賞賛と感謝の言葉を告げれば、口元の弧を強めた彼女が無言で自分の左手を差し出してくる。
意味は十分に理解して、クスリと笑うとその手に指先を絡めて自分に引き寄せた。
細く白い指。
ああ、あの時この指にサイズが合うだろうかと懸念したっけ?
そんな記憶を浮上させれば、さっきの彼女の確認の意味も理解して思わず笑ってしまう。
『重要な確認』って・・・それか。
俺の指にサイズが合うか不安だったって事ね。
全部全部、過去の時間引用の彼女の悪戯。
でも、あんな微々たる時間を細部まで記憶してくれていた彼女に胸が熱くなって。
もしかしたら・・・・俺以上に抱いている愛情が大きくて深いんじゃないかと。
だとしたら・・・さすがに負けず嫌いも働かない。
負けてもいいや。
そんな瞬間・・・、
「ちなみに、・・・その青程度に愛もありますから」
思わず噴き出した。
そんな俺の反応にニッと笑った彼女はまさに小悪魔。
だって・・・だってさ。
その青程度って・・・。
「愛情が全てってことじゃん?」
俺が与えたリングと違って、千麻ちゃんがくれたリングには青い石しか輝いてないじゃんか。
「あなたと違って中途半端な縛り方はしないのですよ」
狡いね。
だってあの時はあれが精一杯の縛りだったでしょ?
勝ち誇って微笑む彼女に方眉上げて苦笑いし、細く白い指に過去と未来の色と輝きで染色。
キュッと付け根までしっかり深くはめ込んで、確かめるようにその指輪を見つめてから視線を上げた。
ほぼ同時に彼女の視線と絡んで、ほぼ同時に2人で挑むようにニッと口の端をあげて見せると。



