何故か改めて宣言された言葉に、まっすぐ真面目に言われただけあって再起不能になりそうなくらい心で失意に染まっていると。
「・・・・・もう、あなたの所有物で振り回されるのはあの秘書であった5年で十分です」
「・・・・・はっ?」
「だけども・・・・貪欲な私は対等な位置でも満足しない」
そう言ってニッと笑った彼女に唖然として見つめ返し、まともな音も発せられず馬鹿みたいに口を半開きにしていれば。
スッと動きを見せた彼女の指先。
何か手品でもするように器用にしなやかに動いた指が俺の左手の薬指を滑って、付け根にある指輪に触れるとそれこそもったいぶった様に軽やかにその手が外された。
ショウタイムと言わんばかりの笑みに見事惹かれ。
そして彼女の仕掛けた魔法にまんまと意表をつかれて言葉を失った。
そんな俺を満足そうに笑って見つめる彼女は小悪魔で心底愛おしい。
やっぱり・・・・千麻ちゃんの魔法には敵わないと思うほど。
驚くほど綺麗で愛情に満ちた魔法をかけられた。
俺の左手の薬指に。
やや年期が入りかけたシルバーリングの上に重ねづけされた青い石のはめ込まれたシルバーリング。
「私は・・・・・あなたの物にはならない。でも、あなたが私の物になればいい」
「ふっ・・・ははっ・・・俺が?」
「その条件は譲れません」
「それって・・・・俺の全て?」
「その条件を呑めるっていうのなら・・・、
私と結婚しましょうか?」
貪欲。
そして、・・・・女王様。
カッコ良すぎて心底惚れる。
困ったように苦笑いで乾いた笑い声を響かせ片手で頭を抱えて見せる。
でも、困っているのは返答にじゃなく、
どうしようもなく彼女が愛おしくて馬鹿になりそうな自分にだ。
「・・っとにさぁ・・・、どこまでカッコ良くて、潔くて、男前なの?千麻ちゃんからの指輪つきプロポーズなんて全く予想してなかったし」
「・・・あまりにあなたのプロポーズが定番化していましたので」
「俺からのそれは蹴っておいて?何がそんなにアウトでしたかね?参考までに」
是非意見をお願いします。と低姿勢で今までの『出直し』理由を確認してみる。



