冷たい彼女も好き。
キツイ彼女も好き。
意地悪な彼女は小悪魔の様で可愛い。
でも、
やっぱり・・・・、
千麻ちゃんの笑った顔が死ぬほど好き。
無性に愛おしくてギュッと抱きしめて肩に顔を埋めた。
俺好みに伸ばしてくれた髪が頬に触れて、それだけで胸が締め付けられて苦しい。
でも、心地のいい苦しさ。
大好きで、愛おしくて、安心する。
もう二度と手放したくない。
そんな感情に浸っていれば、苦しかったのは俺だけじゃなかったらしい。
でも、彼女のは・・・・、
「・・・っ・・・・吐く」
「・・・・えっ?」
「ちょっ・・、離してっ・・・・」
そう言って半ば強引に俺を振りほどくと来訪した時動揺に駆け出していく彼女。
大丈夫か?
と疑問に思って後を追って、再び開きっぱなしのトイレを覗き込めば、ふらりと立ち上がった彼女が口元を手の甲で覆う。
「・・・大丈夫?」
「はい、吐くのは慣れてます」
「まさか異常なダイエットとかやめてよ?」
「心配されずとも自分がすでに細いことくらい自負してます」
「良かった」
これ以上痩せようとしていたらどうしようかと本気で焦った。
それでもどうやら本気で体調不良らしい彼女にさっきより心配する感情が強まって、洗面所に行く彼女を追ってその背中を見つめて問いかける。
「熱は?」
「・・・・・微熱ですね」
「あるんだ!?」
「熱って言うほどものでもないですよ」
たいした事でもない。と言い切ってうがいする彼女を見つめ、彼女が言うなら大丈夫な範囲なのだろうかと思案する。
「寝てなくていいの~?」
「寝てもすぐに改善するでもないし」
「何か食べたい~?」
「いや、食べても吐くし」
「そんなしょっちゅう吐いてるの?」
「・・・・今夜は酷いですかね」
「あっ、分かった!つわり~?」
やっと使える場に遭遇したと、軽い響きで茶化すようにうがいした口元をタオルで拭いている彼女に向けると。
チラリと走った視線と寄った眉根。
すぐにまた嫌味な言葉で切り返されるのかと思って、若干ワクワクしながら見つめて笑えば。
「・・・・・チッ・・」
響いた声でなく舌打ち。
そして心底面白くなさそうに俺の横をすり抜けてリビングに向かう姿に一瞬呆ける。



