あれ?なんかおかしくね?
ひんやりとしたゆびさきを額に感じながら、現状心配させる立場の逆転に眉根を寄せる。
だって今まさに体調悪そうだったの千麻ちゃんじゃん。
ようやく自分の中でそう結論が出ると彼女の手を掴んで外して顔を覗き込む。
それでもいつも通りの無表情な彼女は『何か?』と言いたげな眼差しで見つめ返して。
俺一人がこの状況に困惑しているのだと分かるとゆるゆると言葉を響かせる。
「いや、・・・・とりあえず、メールが・・・」
「・・・・・ああ、・・・体調がすぐれなかったので落ち着くまで会うのはやめようかと思って送ったんです」
「なんだ・・・心配して損した・・・・」
とりあえず振られるような事態ではないと理解すると心底安堵し緊張も解けた。
そんなタイミングに早く取れとばかりに彼女が再度促してきたグラスを受け取り、好意に甘えてお泊まり決行とばかりに喉を潤す。
でも、
「飲まないの?」
「・・・・・吐いてもいいなら」
「ああ、そっか、体調悪いのになんかごめんね?」
「別に、あなたがいようがいまいが体調の改善には影響しないと思いますから」
淡々と彼女らしい言葉を響かせると長い髪を揺らしてキッチンに戻る姿。
冷蔵庫の中から炭酸水とレモンを取り出している姿を近くの壁に寄りかかりながら見惚れる。
すでに部屋着。
俺から奪ったパーカーに時期的にもさすがに生足でなくレギンス着用。
ジッと見つめて服の下の体の細さを思い出すようにしていれば馬鹿な欲情。
スッと壁から離れて彼女の背後に立つと腕を巻きつけ抱きしめてみる。
「・・・・鬱陶しい」
「千麻ちゃんが誘惑的なのがいけない」
「・・・・・普通にレモン切ってただけで誘惑なら世の中誘惑だらけですね」
「いいなぁ、このクールな切り返し~。欲情する」
「・・・・・・M」
心底呆れた響きの声に満足する俺は確かにMかもしれない。と、クスリと笑うとビールをキッチンに置き。
そっと服の上から胸の感触を確かめるように揉んでみる。
「・・・・・相変わらず節操なし」
「侵害だなぁ。スキンシップでしょ~」
「・・・・・体調悪いんですが」
「大丈夫、さすがにエッチまでしよ~。なんてキチガイ男じゃないから」
「・・・・・一生、体調悪いままでいようかな」
「千麻ちゃん・・・・」
ボソリと言われた言葉に思わず苦笑いで落胆の声を響かせると、ようやくその口の端を小さく上げた彼女をやや斜め後ろから捉えてキュンとした。
俺って・・・・単純。



