そうして横になったままブラインドを閉め忘れている窓から夜空を捉える。
静かな居住空間に機械的な音だけがひっそりと響いているのを感じて、不意に昨年の誕生日の時の様だと感じた。
あの時・・・・、そうあの時ももうすぐその日が終わると思って・・・。
そんな回想をし始めると、タイミングを計ったように鳴りだした携帯にその身を起こす。
表示されているのは【副社長】の文字。
それにクスリと笑い、番号を削除しなくてよかったとどこかで思った。
さて・・・・、どんな悪戯を仕掛けてくるの?
「・・・・・ギリギリですよ」
応答して開口一番にそう切り出せば、電話の向こうで彼が小さく笑ったのを感じた。
『ごめん・・・、少し・・・手こずった・・・』
「・・・・魔法を使うのに?」
軽く茶化して魔法を引用して、彼もそれに乗る物だと思って口の端を上げたのに。
『・・・・千麻ちゃん、俺は魔法使いじゃない。・・・弟子でもない。・・・・何の力もないただの男で、千麻ちゃんが本当に望むものは戻してあげられない』
「・・・・・・・当たり前です」
そう・・・当たり前。
そんな事は端から分かっていたことなのに、こうして彼に宣言されて少し胸が痛む自分に馬鹿だと呆れる。
本気で期待していたのだろうか?
あの子を戻せるって?
それで絆も戻るって?
だとしたら私は本当に・・・、
『でも・・・・、ちょっとした・・・・小さくても夢は見せられると思うんだ』
「・・・・・夢?」
『言ったでしょ・・・・触れ合わなくても。2人で生み出せるものがあるって・・・・』
「・・・・・・何ですか?」
『・・・・・【STORY】』
「・・・はっ?物語とでも?」
『違う・・・見てない?USB。それがパスだよ』
言われてPCを振り返るとゆっくりソファーから立ち上がる。
立った瞬間にあまりの緊張で歩きにくい自分の体に驚いた。
それでもPCを目指して歩いてさっきまでその身を置いていた椅子にゆっくりと座った。
動悸が激しい。
酷く緊張する。
まるで何かの合格発表みたいで、見たいのに見たくなくて・・・でも、見ないと答えが分からない。
でも・・・不安。
問題はその答えを得て・・・・どうなるか分からない先に怯えてるんだ。



