叫んで、挑むように彼を振り返ると驚愕でも悲哀でもない姿の彼と対峙する。
真剣な、どこか挑むような。
そして少し緊張したのは彼のフードが外れたままで、彼の要素が強い姿だったから。
そんな些細な変化にも緊張する自分にも今はただ悲しくて苛立って。
どうにもならないじゃない。
そう思って悔しいのに口の端が上がった。
「・・・・終わって・・ない?・・・・さっきだって・・『もう少し』とか『教えてあげる』とか・・・振り回してばっかり・・・」
「・・・・」
「結果、何か一つでも私に答えてくれたんですか!?具体的にリハビリの様な事してくれましたか!?」
「・・・・・ちゃんと、前進してるよ?触れたし・・・キスだって出来る」
「あんな・・・、あんな防御ばかりのキスや抱擁を含めないでっ、あんな風にお互いに気を使わなきゃ触れ合えない。牽制しなきゃキスも出来ない。そんな2人が一緒にいて何の意味があるんですか!?」
「でも・・・・・、俺は千麻ちゃんが好き。千麻ちゃんも・・・・俺が好きなんでしょ?」
「好きですよっ!!」
悲鳴にも近い叫び。
叫んで涙が流れて・・・でも憤る。
好きだけど・・・・、
好きだから・・・・、
こうして辛くて苦しいんだ。
好きだけじゃ解決しない自分の問題に。
「・・・っ・・あなたは・・・何がしたいんですか!?私を連れまわして・・・、過去の話をするでもない。未来の話をするでもない。口から出るのは夢のような現実味のないおふざけばかりっ・・・・・、」
「・・・・俺は、・・・千麻ちゃんの傍にいたいだけ。寄り添いたいだけ」
「だからっ、それが夢ばかりだって言うんですよ!!過去のあの時間にも触れず、あの子の話題にも触れず、そんな風に関係を修復しようとしても私の奥にある感情が絶対にあなたを許すなって牽制してっ・・・・、もう・・・苦しいんです」
高ぶっていた感情が悲哀の浮上で鎮静していく。
自分でもどうにも出来ない矛盾した感情。
好きなのに許せなくて。
好きだから許せない。
彼のせいではないのに彼のせいにして。
なのに求めるのは・・・・
「謝ってほしいならいくらでもそうする」
いつの間にか手で覆っていた顔をゆっくりとあげていく。
響いた言葉に戸惑って、どう返答していいのか心底困惑した。
そうして迷って捉えた彼と言えば怒るでもなく悲しむでもなく、ただまっすぐに私を見つめて対峙していて。
私と視線を絡めると、ゆっくりと息を吐き出してから言葉の続きを響かせた。



