冷たい。
でも温かい。
触れた瞬間こそ風に冷やされた唇は冷たくて、でも熱を与え合う様に密着していけばすぐに本来のぬくもりを感じる。
時々漏れる息は熱い程で、それでもやはりサングラスの金属だけが無機質に冷たい。
ああ、・・・・と、いうより。
キス・・・・している。
そう理解したのに・・・・・心が一瞬強く焦っただけで・・・それだけ。
それでも掴まれている手首の先の指先は小刻みに震えてはいる。
「・・・・・しっかり・・閉じてて」
密着していた唇が僅かに離れその声が響いた。
そう、このキスに心が動揺しないのは瞬時に張った予防線もあってだ。
なんとなく予測した行為にとっさにきつく目蓋を下ろし、サングラスの隙間からとらえてしまいそうなグリーンアイを自らシャットダウン。
そうして厳重な装備の元触れ合ったキスは何とか接触を継続できる状態になっている。
だからこそ、
彼からもその牽制。
やっと、キス出来る方法を得たような瞬間。
その現状により歓喜したのはリハビリ中の本人である私より・・・彼のほうだ。
柔らかく啄んで、懐かしむように、愛おしむように。
そんな柔らかいキスを繰り返して、静かにその与えられる感触に身を預けて。
でも・・・・・限界。
「ごめ・・・・・、もう、限界・・・・」
ピタリと動きが止まった唇からそんな声が響いて、どこか切なくもどかしさを感じ取った直後には再びしっかりと密着した唇に自分の呼吸を奪われた。
「っ・・・んっ・・・・」
さっきのやさしさの皆無。
そんな風に感じるキスは余裕なく熱っぽい。
限界と言っただけあって触れた瞬間からこれ以上ないというくらいしっかり密着した唇と入り込んだ舌先。
絡んだ瞬間異様に熱くて、目が回りそうな感覚に必死に堪える。
ここで気を緩めたら一瞬の内に自分の不安要素が爆発しそうだと懸念したから。
しないかもしれない。
でも、言い切れない。
そして・・・このキスもやめたくない。
気がつけば私の手首から外れた彼の手が私の頬を伝って頭の後ろに滑り始め。
それに意識してもまだ平常心でいられる自分に瞬時に安堵し歓喜して・・・・貪欲。
まだ微々たる震えも残る指先を伸ばし、躊躇いがちにフードの中にその手を滑り込ませる。
彼の頭のラインに沿って髪を撫でながらフードをゆっくり後ろに落として。
風に揺れ始めた彼の髪を指先で感じて口の端が上がった。
触れた。
そう歓喜した瞬間に彼も同調し口の端を上げた気がする。
相変わらず顔を隔てている金属が鬱陶しいと感じながら酸欠になりそうなキスを交わして、ようやく触れることが出来た彼の髪を指先に感じながら徐々に気を許していく。



