多分お互いにどこか複雑で緊張も僅かばかりに抱いた道のり。
いつもみたいなおふざけの会話もなく沈黙が語るのは、同じ空間にいながらお互いに考えているのはお互いじゃない。
なんて滑稽な夫婦。
ああ、だから・・・・夫婦と言いきれない、
流れる景色に馴染みを覚える。
一週間ぶりのこの道のりだと感じそして少し胸がざわめいてしまう。
古い物新しい物が立ち並ぶ住宅地の細道を車で走り、徐々に近づくそこにドキドキと心臓が僅かにも速くなった。
そして聞こえない様にゆっくり長く息を吐く。
それに合わせるかのように車も静かにその動きを止めていった。
「・・・・着いたよ」
響いた声にようやく彼を振り返ると、その身をハンドルに預けグリーンアイはただ真正面を見つめている。
『着いた』と促したわりに一向に動きを見せない姿にどうしたものかと思案して、ただ黙ってシートに身を置いていれば。
「・・・・・降りないの?」
「そっちこそ、」
「いや・・・なんか連絡なしに来たけど、」
「はい、」
「大丈夫かなって・・・」
「はっ?」
話の中心がよく分からない言葉に怪訝な表情で反応を返せば、方眉下げて苦笑いを浮かべようやく車から降りた彼。
『大丈夫』とは、在宅有無の話だろうか?
疑問に首を傾げていればガチャリと自分の方の扉が開き、長身の体をかがめた彼がクスリと笑って私を覗く。
「千麻ちゃん、行かないの?」
「あっ、すみません、」
うっかり考え込んでいた自分を慌てて車の外に出すと瞬時に風にざわめく笹の風流な音。
その瞬間にあの独特な空気を感じて心が沈まる。
だけど同時に切なくも。
ふわりと横からの風に遊ばれ舞ったウィッグの長い髪を押さえると、目の前に捉える一際年季の入った家を見つめた。
今じゃ珍しい塀垣に囲まれ、グンと伸びた竹が庭の位置からスッと覗く。
今も捉えている玄関は昔ながらの横にスライドする硝子戸。
たかが1週間ぶりだというのに酷く久しぶりに感じ、そして何故だか以前より遠く感じる場所。
ああ、それは・・・・心の距離?
らしくも無くぼんやりと立ちつくして見慣れた景観を見つめていれば、そんな私を笑ったのか。
横をすり抜けざまクスリと笑った彼が玄関ではなく門構えを少し過ぎた位置に庭に通じる小道に足を向けた。



