そして彼も落胆しただろうけれど私もだ。
絡んだ瞬間に怯えた自分に酷く落ち込んでいる。
ここまでの彼の言うところの【リハビリ】が上手くいきすぎていて、どこか知らぬ間に淡く期待していたのかもしれない。
このまま・・・・不安の塊が思ったより簡単に消えるんじゃないかって。
どこかで軽んじて期待して・・・・落ちた。
「・・・・・アイボリーに近い白レースのリボン・・・・いいね。シンプルで綺麗だ」
「・・・・」
やっと沈黙破った彼がそう声を響かせると自分の持っていたリボンを置いて、私が選んだものを手に立ち上がる。
そして再び私を待つでもなく歩き出す姿にさすがに三度目とあって苛立ち交じりに立ち上がると声を響かせた。
「さっきから何なんですか!?」
「・・・・へっ?」
感情的に不満をぶつけた声に、さすがに立ち止まった彼が間の抜けた返事を響かせ振り返る。
何の事か全くわからない。そんな風に感じ取れる姿に勢いよく近づきマナー違反にも指さしてしまった。
「だからっ・・・さっきから人の事も考えずさっさかさっさか勝手にいなくなって、」
「さっき?」
「カフェの時もそうだし、さっき生地を選んだ直後もですよ!!」
「・・・ああ、ははっ、」
「何が可笑しいんですか!?追いかけて捕まえるこっちの身にもなってーー」
「言ったじゃん」
「・・・・・・」
あっ、勝ち誇った雰囲気。
そう感じた。
ニッと口の端を上げる姿。
そしていつかの時間を思い出す。
「いつか・・・・俺の後を追いかけさせるって」
「・・・・・・・」
「前や隣じゃなくて・・・・・、恋しくて、追いかけさせるって・・・・」
「っ・・・・」
その言葉は覚えている。
それこそ結婚した直後に彼が私に言った言葉だ。
いつか私が後ろから追う日が来ると。
そしてそれが今だと・・・・。
そう言いたいの?
その疑問に肯定を示すように満足げに微笑んだ彼が、補足的にその一言を付け足した。
「ねぇ、さっきまでの千麻ちゃんの感情が・・・過去に千麻ちゃんに抱いてた俺の感情だよ」
悔しい。
瞬発的に反論するように彼を押し退けると先を行くように早歩き。
でもそれすら彼の想定内なのか、後ろから可笑しそうにクスクス笑いの彼の気配を感じて更に不快。
違う!
断じて違う!!
別に恋しくてその姿を追っていたわけじゃない。
そう断言すればいいのに思わず無言で半ば強引な逃走。
これでは肯定を示したように取られてしまうのに。
何とも言えない感情のまま自分の足を入口に向ける。
当然彼は会計にレジに向かい、一足先に外に出ると苛立ちのままバイクに身を寄せ。
今度こそ何があっても店内には戻らないと意思を固めてその場に張り付いた。



