「・・・・・・行くよ?千麻ちゃん」
懐かしい・・・・感覚。
「・・・・お供・・・しましょうとも」
そう告げれば小さく彼が笑った気がしたのは気のせいだろうか?
すぐに走り出したエンジン音に掻き消されて詳細は定かじゃないけれど・・・・・。
笑っていたでしょ?
ねぇ・・・?
自分でもあまり馴染みがないと思った。
店内を見渡してもどうも場違いで落ち着かず、こんな場所に何故彼が用があるのかは更に疑問で未だに未解明。
そうして当の本人に視線を移せば・・・・・、まだ迷ってる。
そして・・・めっちゃ浮いてますけど。
確実に場違いだと感じる。
私以上にこの人は・・・、もっと言えば犯罪者スタイルが余計にそれを際立たせて、平日の昼間にこんな場所でこんな男が真剣に買い物に迷ってる姿が不自然でならない。
そうだよ・・・それも疑問の一つだった。
「・・・・あの、」
「ん~?」
「その・・疑問だったんですが・・・・仕事・・・」
「USBなら今日の終わりに返してあげるって」
「違います!私でなくあなたの仕事です!こんな自由がきくほどあなたは暇な体でなかったと記憶しますが?」
「俺の不在の穴埋めなんて簡単に出来ちゃう有能な秘書なんです」
「っ・・・」
ちょっとばかり・・・・痛い。
あっさり視線もこちらに向けず未だ商品選別に勤しんでいる彼の弾いた言葉に馬鹿正直に反応して押し黙れば。
「・・・・なんて、言ったらショック?」
「・・・っ・・・・別に、ただ後任のその人に同情はいたしますが」
「ははっ、素直じゃない~。今めちゃくちゃ闘争心露わの顔してたくせに」
ケラケラと人を指さし笑う男を殴るか真剣に迷って何とか留めた。
この店内の空気にさすがに平手打ちの響きは似つかわしくないと、『大人』という言葉を自ら反復して心を鎮める。
そんな私でさえ可笑しいらしい彼が未だに小さく笑いながら指先で並んだ商品の手触りを確かめ選別の継続。
それでも答え合わせ。
「秘書と言うよりひーたんが頑張ってる」
「・・・・雛華さんに押し付けてきているんですか?」
「人聞き悪いなぁ。・・・・・あっ、いいのみっけ」
まさかの事実にすぐに非難して叱責しようとしたのに、それを遮って彼の嬉々とした声で防がれた。



