時々ハンドルを握る彼を盗み見る。
その視線はただ目の前の進む道を見つめていて、いつもは無駄な軽口が縫い付けられたように閉じている。
何を考えているのか。
そんなのは愚問。
きっと彼女一色。
いや・・・・、当然【彼】も同じくらいの割合で存在するのだろう。
【彼】も【彼女】も隣にいるこの彼にはいつだって特別で大切な存在なのだから。
彼が私と結婚した事情。
彼女は彼が初めて愛した女性だった。
彼女も彼を愛して婚約して、
このまま2人は結婚するのだと思っていた。
でも、思わぬ存在がその彼女の姿と心を攫う。
彼と同じ血を引く、
彼と歳同じくも叔父と言う男。
類似する姿とそのグリーンアイ。
そして・・・
私が想いを寄せていた相手でもある。
純粋で自然な緑の様な人。
そんな不思議な魅力に彼女は惹かれ、
選ばれたのだ。
ああ、つまり。
私と彼は仕方のないはみ出し者で、負け組が傷を舐めあうように寄り添っているだけ。
改めて悲しい解釈で自分と彼の関係に答えを得ると深く溜め息をつく。
それがまた大きく車内に響いたものだから、さすがに隣で運転していた彼も反応しクスリと笑った。
「千麻ちゃん、憂鬱?そういや失恋して以来じゃない?あいつに会うの」
「ええ、あなたがカッコ良く惨めな引き立て役になった結婚式以来ですね」
「ははっ、驚いたよぉ。まさか俺との結婚式直前にあいつに告白するなんて。・・・・OK出て作戦諸々失敗してたらどうしてくれたんだろうねぇ?」
「ああ、そしたら今こんな苦痛な思いしてあなたの隣には座っていないかと、」
嫌味で仕掛けてきた言葉に嫌味の上乗せで返せばもう愉快な言葉の戦争だ。
お互いにチクリチクリと痛みを伴う言葉を投げ合い、そして結果不機嫌に黙する。
視線も彼は進行方向を、私は窓の外に向け、お互いに不愉快を示し眉根を寄せた。
ああ、どうしてこうも違うのか。
一瞬比べる様な思考に驚きすぐに掻き消した。
同時に・・・・彼も私を彼女と比べているのだろうか?と疑問の浮上。
ああ、そうして比べられたら・・・。
彼女ほどの魅力や価値はあなたの中でないのでしょうね。



