それを口にしただけあって彼も充分に欲情している状態だと分かった。
触れ合った瞬間から濃密で熱を高めてくるキスに見事女の自分が反応して熱くなる。
キスを交わしながら徐々に移動して、膝の裏にベッドを感じると柔らかく押し倒されるそれに身を預けて背中にスプリングとシーツの感触を得た。
足の間に恭司の片足が入り込んで、倒れたはずみに離れた顔の距離。
久々にこんな角度から見下ろされたと感じる。
そしてこうして捉えて見ればこの男も随分整った姿の持ち主だったと再確認した。
「・・・・今更だけど・・・いい男ね」
「・・・驚きだな、千麻の口からそんな安い口説き文句が出るなんて」
「別にあなたを喜ばせようと言ったんじゃなくて私の単なる確認の言葉よ」
「ああ、そっちの方がなんか逆にグッと反応するものがある」
「嘘つき。あなたがそう簡単に言葉一つに動かされる人だなんて思ってない」
「・・・・・千麻は別だよ」
「よく言うわ」
『黙って』
そんな感じに塞がれた唇が柔らかく遊ばれて、恭司の指先が熱を誘うように体を這う。
見事反応する私はやはりこの男を異性として嫌いでないのだとよく分かる。
嫌ってほど記憶した肌の質感も筋肉のつき方も声のトーンも嫌いじゃない。
むしろ・・・・好きな方。
いっそ・・・・・こうして恭司と一緒に人生を過ごしていく方が私には乱れるようなこともなく幸せなのかもしれない。
決して馬鹿みたいなサプライズが無くても、キザッたらしい愛情の言葉が無くても。
本来、不必要な物たちだもの。
「・・・・・千麻」
「・・・・あっ、・・・えっ?何?」
不意に呼ばれやっとその愛撫が止んでいたのに気がついた。
そして見下ろす恭司の何とも言えない複雑な笑み。
私がようやく反応見せ視線が絡むと小さく息を吐いて、そっと伸びた手が私の頭をくしゃりと撫でその体を起こしていく。
慌てて自分も体を起こせば再び伸びた手が私の額を軽く押して、決して強い力ではなかったのにその身は静かにベッドに倒れた。
「・・・・・今の千麻に必要なのはこんな欲じゃないでしょ?」
「・・・・・はっ?」
「それに・・・意識お留守な相手と欲を満たしても何の満足感も得ないから時間の無駄。・・・それが俺の最低限のルール」
「・・・・私が結婚してようが口説いてた男がよく言うわ」
「あれは・・・人妻になった千麻はどんな危険な魅力が高まったか知りたくて」
「・・・・悪趣味」
「とにかく・・・・今の千麻はしっかり寝るべきだね。・・・・今日は特に疲れたでしょ?精神的に・・・」
そう言って子ども扱いするように頭を撫でる恭司を不満げに睨み上げてから一息吐く。



