多分彼が思い浮かべている存在を自分の頭にも浮かべると、私も彼じゃないグリーンアイを思い出してぼんやりとした。
だけどすぐにその思考が途切れたのは動き出した彼がリボンをスルリと解きべッドを抜け出したから。
珍しくなかなか私に戻らない彼の視線は今も刻む時を見つめる。
時計を静かに見つめる彼の後ろ姿を何となく視界に捉えたままでいれば。
「・・・千麻ちゃん、」
「・・・・はい、」
呼ばれた名前に返事を返せばようやくそのグリーンアイが向けられた。
いつもの様なおふざけも無く少し真面目でまっすぐなグリーンアイが私を映して、一瞬の躊躇いの後にその提案を告げられた。
「俺達が諦めた運命・・・・、見に行きませんか?」
ああ・・・素直じゃないのねダーリン。
会いに行きたいと。
はっきり言えばいいじゃない。
1週間前に自分が手放した幸せがどうなっているのか、笑っているのか見たくなったのでしょう?
そして同時に私も同じ場所に気がかりな姿がある。
思い浮かべれば少し胸のざわつく。
「お供・・・しましょう?」
悪戯な捻りも無くそう返せばフッと力なく微笑む彼の姿。
お供するなんて少し狡い表現だと自分ですぐに心で切りこんだ。
まるで彼だけの問題であるかのように切り返して、多分彼も思う事あった筈なのに私には突っ込みをいれず微笑んで飲み込んだ。
ああ、今のは私の負け。
狡い女。
彼に提案された瞬間馬鹿みたいに心臓が歓喜で跳ねたくせに。
彼が愛した姿の隣に、
私が想いを寄せた姿があるのだ。



